少子高齢化が進み、老老介護の世帯が増えています。老老介護とは、文字通り老人が老人を介護する状態です。一般的には、65歳以上の高齢の夫婦や親子が、介護を行うことを指します。例えば、81歳の寝たきりの妻を、84歳の夫が介護する。68歳の娘が、90歳の母親を介護するなどです。高齢者にとって誰かを介護することは、身体的にも精神的にも大きな負担です。このため、元気だったはずの高齢者が、介護を行うことによって健康や精神を損ない、共倒れになる心配があります。老老介護は社会全体で考えるべき課題であり、その中には、認認介護問題も含まれます。認認介護とは、介護を受ける人だけでなく、介護をする人も認知症である状況を指します。現在、高齢者の5人に1人が認知症との調査結果が出ており、今後はますます認知症の高齢者が増えていくと予想されています。それに伴い、認認介護も増えていくことでしょう。
認認介護では、老老介護による心身への負担に加え、お互いのコミュニケーションが困難になりますし、認知能力も低下しますから、介護や日常生活にさまざまな支障を来すことが心配されています。例えば、食事をいつ食べたか覚えていないので、規則正しく食事を食べられず栄養失調や健康不良になるリスクがあります。また、掃除や洗濯などの家事や入浴を忘れがちになるので、衛生的な環境が保ちにくくなります。さらには、金銭の管理が困難になるという問題もあるのです。認認介護は、自分たちの現状が理解できないケースもあり、深刻な状況を引き起こすリスクが非常に高いと懸念されています。