日本における高齢者の一人暮らしと介護の問題は、社会全体の課題です。高齢者の増加とともに、一人暮らしの高齢者も増えており、その中には介護が必要な人も多く存在します。しかし、家族による介護が難しい状況も増えてきており、社会全体での対応が必要なのです。かつては夫婦と子供の世帯が主流でしたが、現在では単独世帯が増えています。また、働く男性と専業主婦の妻という世帯も減少し、共働き世帯が増えています。これらの変化は、家族による介護が難しくなる一因です。一方で、高齢者の介護は、これまで家族、特に女性が無償で行ってきました。しかし、少子高齢化の進展や世帯構造の変化などから、家族だけで介護を担うことは難しくなっています。そのため、2000年には介護保険制度が導入されたのでした。

しかし、介護保険制度導入後も家族状況によって支援が異なる状況が続いています。また、サービス利用者数が増大し、制度改正が行われるたびに制度の持続可能性の確保を旗印として、介護保険料の利用者負担の増加やサービスの利用抑制が行われています。介護に携わる人にとって重要な視点は、「高齢者の生活全体を支える介護支援とは何か?」です。介護保険制度の理念はともかく、現状では家族からの支援がなければ在宅での介護生活を続けることは難しいでしょう。これからの介護職には、高齢者が求める必要なサービスを、必要な日時にスムーズに提供することが求められます。それは、一人暮らしの高齢者にも、希望に応じて、可能な限り在宅生活が続けられるよう支援するということです。